MCSインデックスの見方

無線LANでは通信規格毎にデータレートが定められています。MCS(Modulation and Coding Scheme)インデックスは空間ストリーム、変調方式、符号化率など、各パラメータの組み合わせに基づいて論理的に数値化されたものです。

MCSインデックスは以下サイトより確認することが出来ます。

https://mcsindex.com/

本記事ではMCSインデックス表の読み取り方について解説していきます。

 

HT、VHT、HE

MCSインデックスに記載されている「HT」「VHT」「HE」はWi-Fi規格のことを指しています。HT(High Throughput)は802.11n、VHT(Very High Throughput)は802.11ac、HE(High Efficiency)は802.11axの略称になります。

 

Spatial Stream

Spatial Streamは日本語で「空間ストリーム」と呼ばれます。空間ストリーム数は、送信するデータを論理的に多重化した数を表します。

アクセスポイントのデータシートで「3×3 : 3SS」等と記載されているSSと記載されたところの数値を指します。ラップトップPCではほとんどの場合、2ストリームの空間ストリームが実装されています。

 

Modulation

Modulationの部分は変調方式を指しています。「変調」とは電波にデータを乗せること(信号を電波に変換すること)です。変調方式が高度であればあるほど1度に多くの情報量が変換でき、データレートは向上します。

 

変調方式が高度であればあるほど、それをデコードするために必要な信号品質(SNR)は高くなります。

 

 

Coding

Codingは日本語で「符号化」と呼ばれます。符号化とは、干渉などによるデータ欠損への対策として、エラー訂正用にデータを使い冗長させることを指します。例えば、符号化率が 3/4 の場合、1/4がエラー訂正用のデータとして転送され、データが欠損した場合に復号されて使用されるようになります。

エラー訂正用のデータの割合いが増えれば、スループットは低下しますが、データ欠損に対する耐性は上がります。エラー訂正用のデータの割合いが少ないほど、必要な信号品質(SNR)は高くなります。

 

Channel Bonding

チャネルボンディングは日本語でチャネル幅と呼ばれます。チャネルボンディングとは複数のチャネルを束ねて一つの通信に使うことで帯域幅を広くし、通信速度を向上させる技術です。

ただしチャネルボンディングを使うと、その空間で使用できるチャネルの数が減り、干渉が発生しやすくなるデメリットがあります。複数のチャネルの跨るため、ノイズもその分増加し、SNR値も低下します。

 

ガードインターバル

受信側で反射などによりタイミングがずれた信号が重なり、復元が困難になることを防ぐ仕組みを「ガードインターバル」と言います。

前後のデータがお互いに干渉しないように挿入されるインターバル時間のことを指します。0.8μ秒をロングガードインターバル、0.4マイクロ秒をショートガードインターバル、と呼びます。

 

MCSインデックスからわかること

例えば、802.11ac(VHT)の通信規格で、空間ストリーム数が2、変調方式がQPSK、符号化率が1/2の環境で
チャネル幅が40MHz、ショートガードインターバル(0.4マイクロ秒)の設定の場合、データレートは60Mbpsとなる。

この場合、変調方式がQPSKとなっていることから無線品質の状態が悪いことが想定できます。