MCSを使った無線LANのトラブルシュート

ワイヤレスクライアントの問題をトラブルシューティングする方法の 1 つは、パケット キャプチャを実行することです。MCS  の値は、クライアントに関する多くのことを示しています。MCS レートは、空間ストリーム、変調方式、およびコーディングの組み合わせで与えられるインデックス番号です。MCS の分析は、全く問題が無い様に見えるのに「遅い」という無線の遅延に関する問題をトラブルシューティングするのに役立ちます。

MCSレートは、ワイヤレスメディアを介して送信できるデータ量を示す数値であるため、ワイヤレス環境で起こる問題の原因を探ることができます。例えば、クライアントの RSSI が低い場合やクライアントの再試行回数が多い場合は変調方式が低下するため、MCS レートが低下します。

以下の 802.11ac パケットを分析してみましょう。MCSの値 はデータ フレームの 802.11 radio information セクションにあります。

この例ではMCSインデックスが8であることが解ります。また、変調方式は256-QAMでコーディングレートが3/4であることが解ります。「変調」とは電波にデータを乗せること(信号を電波に変換すること)を意味します。変調方式が高度であればあるほど1度に多くの情報量が変換でき、データレートは向上します。また、変調方式が高度であればあるほど、それをデコードするために必要な信号品質(SNR)は高くなります。

「コーディング」とは干渉などによるデータ欠損への対策として、エラー訂正用にデータを使い冗長させることを意味します。例えば、コーディングレートが 3/4 の場合、1/4がエラー訂正用のデータとして転送され、データが欠損した場合に復号されて使用されます。エラー訂正用のデータの割合いが増えれば、スループットは低下しますが、データ欠損に対する耐性は上がります。エラー訂正用のデータの割合いが低いほどデータレートは高くなりますが、必要な信号品質(SNR)は高くなります。

また、802.11acでホストに 2つの空間ストリームがあり、ショートガードインターバルで設定され、40MHzチャネル幅を使用し、データレートが 360Mbpsであることがわかります。RSSI が -51dBmであり、ノイズレベルは-94dBmでSNRは43dB(-51-(-94))であることが解ります。

以下はMCSレート一覧です。(https://mcsindex.com/)